ドイツのピアノ教育見聞録

ピアノのレッスンを通して覗いたドイツ事情と試行錯誤の日々の記録。

音楽系ギムナジウム

音楽系ギムナジウムMusisches Gymnasium とは何か?

「日本で言うところの音楽高校?」と聞かれたことがあるが、答えは否、全く別の代物である。

ドイツでは、小学校4年生を修了した後、3種類の進路の中から自分の将来に見合った学校に進学する。

ギムナジウムは将来大学に進学しようと希望する生徒たちが入学する学校だ。

日本の小学校五年生から高校卒業までの、幅広い年齢層の生徒たちが在籍している。

日本と違って、勉強しなければ情け容赦なく落第させられるため、20歳の大人と10歳の子供が同じ校舎で学んでいるのもごく普通の光景だ。

ドイツには語学系、理数系、社会学系、古典系と並んで音楽系のギムナジウムがあり、四年生の子供達は、親と相談して自分が気に入った学校に進学する。

「音楽系だったら、将来音楽大学に行く人が多いの?」と言う質問に対する答えは、どちらとも言えない、かもしれない。

音楽系ギムナジウムに行っても音楽の成績のよくない子もいれば、理数系のギムナジウムから音大に進学する子もいる。

音楽はその昔、数学や天文学と同じカテゴリーに属する学問であった。

あのピタゴラスが音律法を数学的に考案している。

音楽系ギムナジウムでは、音楽はドイツ語や数学などと並ぶ主要科目であり、生徒は好きな楽器を1つ習得することを日本の文科省に相当するバイエルン州のKultus Ministeriumによりカリキュラムに定められている。

つまり、音楽系ギムナジウムに入学したら、楽器の演奏を習得せねばならず、日本の学校に例えると、中間、期末テスト毎に、課題曲及び自由曲を演奏し、成績をつけられることになる。

しかも、入学前に楽器がある程度演奏できなければいけないという条件も一切ない。

小学校五年生で楽器も楽譜の読み方も一から習い始めるのだ。

私が初めて音楽系ギムナジウムの何たるかを知った時、小学校五年生から楽器を習い始めるなんて、無理だろうと思った。

ところがどっこい!

結構驚きの現実が音楽系ギムナジウムでは展開されている。

そしてここは、音楽学校Musikschuleとも全く違う別世界なのだ。