ドイツのピアノ教育見聞録

ピアノのレッスンを通して覗いたドイツ事情と試行錯誤の日々の記録。

大学とオルガンと

本日、私の大学の講座に在籍する大学生4人が、学位取得のために重要なピアノの試験に合格した💮。

私は同席を許されていなかった。

全員声楽専攻でピアノは副科なのだけれど、試験は大学の大ホールで、スタインウェイのグランドピアノで審査される。

ここは義務教育の学校の音楽の先生を養成する大学なのだけれど、スタインウェイという最高級のグランドピアノが設置され、更に巨大なパイプオルガンもホールの舞台上に備え付けられている。

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この写真では非常にわかりにくいのだが、ピアノの向こうに見える茶色い家具のようなものが、実は巨大なパイプオルガンなのだ。

その昔の私には、オルガンといえば小学校の教室にあった足踏み式の物が頭に浮かび、パイプオルガンとは教会にあるものという固定観念しかなかった。

ところが、音楽系ギムナジウムの音楽室に小振りだけれど本物のパイプオルガンが備えられており、しかもオルガン専用の練習室が2つもあるを初めて知った時、西洋音楽の歴史の重みを視覚的に受け止めたような衝撃を受けた。

パイプオルガンだから、それこそ重厚な、どーーーん!という重みだった。

パイプオルガンはピアノの発明される前の古い時代の楽器なのではなく、教会の中での礼拝用の楽器というだけでもなく、現代に生きるドイツ人の冠婚葬祭などと切っても切れない現役バリバリの楽器なのだ。

ギムナジウムでオルガンを専攻する生徒もいる。

あの有名な作曲家バッハが教会オルガニストとして働いていたことはもちろん知っていたけれど、現在でも教会オルガニストという職についている人がいるなんて、ドイツに来るまで知らなかった。

音学大学オルガン専攻の人は大体教会音楽専攻と言っているのはそういうことだったのか!

そう、オルガンはドイツの伝統であり生活の一部なのだ。

話が逸れてしまった。

ここの大学の試験は、課題曲というものがない。

各自が最低3つの異なる様式からなる20分のプログラムを用意する。

選曲に関しては、皆それぞれに個性を発揮して面白い。

20分のプログラムを弾ききるのもそれなりに体力と集中力が必要だ。

各学期に一回は必ず演奏会形式の授業もやってきた甲斐があったなぁと、高得点を収めたという彼らからの報告を受けて、私はとても嬉しくなった。

みんな、おめでとう!