ドイツのピアノ教育見聞録

ピアノのレッスンを通して覗いたドイツ事情と試行錯誤の日々の記録。

レッスンはいつから始めるべきか?

ドイツでは、子供が小学校に上がってから楽器の個人レッスンに通わせるのが一般的だ。

なぜか?

私の勝手な憶測だが、一年生になって初めて学校でアルファベットを習うからである。

ドイツ語でドレミはCDE(ツェーデーエー)だ。

ドレミファソラシ、即ちCDEFGAHの7文字を習ってから音楽学校に通わせるべきだと、ドイツ人は考えるらしい。


これが日本人、又はアジア系出身者には、とても遅いスタートに感じられる。

アジアの国々では、早期教育が盛んだ。

そして何より、アジア系の子供たちは指先がとても器用だ。

これは、アジアの国々では子供の頃からお箸を使って食事をするからに違いない。

学術的な裏付けはない。あくまで私の個人的な持論だ。


ドイツ人は、子供に早期教育を受けさせようとは考えない。

それどころか、子供は子供らしく伸び伸びと育てたいと思っているようだ。

習い事は早くて一年生で十分らしい。


私も昔は、早期教育は当然だと考えていた。

娘も幼稚園児の時に、ピアノを習い始めた。

しかし、私自身がドイツの小学一年生にピアノを教え初めて以来、その考え方が少し変わった。


アジア系の子供たちは、親に連れられてレッスンにやってくる。

しかし、ドイツ人の子供たちは、親を伴ってレッスンにやってくる。

そう、ドイツ人の子供たちは、自分が習いたいからここに来るのだと言う確固たる意思がある。

したがって、宿題も自分で責任を持ってやる。親も、子供が自発的に練習しようと思わないと意味がないと考える。

練習しないでレッスンに行って先生に怒られても、それは子供自身の責任であり、子供自身が経験を通して学んでいくべきだというのが、ドイツ式家庭教育の方針だ。

それに比べると、アジア系の子供たちは、残念ながら親に怒られて練習する子が大変多い。

初期の段階では子供の自主性はあまり感じられない。

しかし、早いうちに怒られながらもそれなりに上達しているわけだから、コンクール等の準備には非常に有利だ。


どちらが良いのかは、誰にもわからない。

どんな始め方であっても、将来いつの日にかピアノが弾けて楽しいと思えたら、それで良いのだろう。