ご褒美
今日のレッスンは全て終了!
来週1週間は万霊節のお休みだ!
今日最後の生徒は、小学校2年生のMちゃんだ。
今年度9月からピアノを始め、毎週のレッスンが楽しみで、金曜日の午後にお友達の誕生日パーティーに呼ばれても、「今日はピアノのレッスンだからダメ!」と自主的に言うんです、とはお母さんの弁。
休み明けには念願のピアノがお家に届くそうだ。
ちなみにドイツでは、「お誕生日パーティーに呼ばれてるんです。」と言う言葉には、まるで水戸黄門の印籠を掲げるかのような威力がある。
大人がそういう調子だから、ましてや子供にとってはお誕生日パーティーとはまるで免罪符そのものだ。
さて、Mちゃん一家は今日これから直ぐに車でスペインに向かうそうだ。
気候の良い海辺の街にアパートを所有しているので、休暇はいつもそこで過ごすのだという。
あれ?お宅はスペイン出身でしたっけ?
いやいや、ルーマニアよ、とお母さん。
でもMちゃんはスペイン生まれ、ドイツに来たのはほんの数年前だとか。
温暖な気候だからいつも海で泳げるし、食べ物も美味しいし、ドイツの「仕事仕事!」とは違うメンタリティの中で、しばし休養してくるんだそうな。
そうですかぁ、楽しんでね、と彼らと別れてから、考え込んでしまった。
ヨーロッパの中で、ドイツが経済的に一人勝ちしているのは事実だ。
EUが取り敢えず機能している限り人の行き来は自由なので、経済的に立ち行かなくなった国から仕事を求めてドイツへと、たくさんの経済移民と呼ばれる人たちがやって来る。
Mちゃん一家もそう言う状況でドイツに来たはずだ。
しかし、何と言おうか、そんな状況でもちゃんと人生を楽しむことができるのだ。
「スペインのその街はどちらかと言うと貧しいんですよ。でも、カフェもレストランもいつも一杯で、活気があって…。」
ヨーロッパの地続きの国の人だから、或いは流浪の民のご先祖様をお持ちだからなのか?
ドイツに来て28年になる私はやはり未だにエトランゼ。
ヨーロッパ人の休暇を楽しむというメンタリティに、まだまだついていけてない。
人生ちょっぴり損してるのかなぁ。
ともかく今日は冷凍してあった羊羹を取り出すことにした。
頂き物のと◯屋の羊羹だ。
羊羹って、チーズナイフで切ったらいいんじゃないかと閃いた。
バッチリ切りやすいけど、断面が波状だ。
ま、いっか。