ドイツのピアノ教育見聞録

ピアノのレッスンを通して覗いたドイツ事情と試行錯誤の日々の記録。

レッスン禁止?

新学年度早々に、校長から緊急連絡があった。

ある生徒に対するレッスン禁止令だ。

昨年度の授業料が滞納されているので、その生徒が来てもレッスンしてはいけないというお達しだ。

私の勤めている音楽学校は市立である。

ドイツ語では、städtische Musikschule という。

市からの多大な公的資金で経営が援助されている。

生徒一人に掛かる必要経費の半額は、公的資金で賄われている。

親が払う授業料とは、必要経費の半分でしかない。

複数の子供をレッスンに通わせる家庭には、割引制度が導入される。

しかも、生活保護を受給している家庭の場合は、授業料全額免除される。

簡単に言えば、レッスン代がとてつもなく安いのだ。

今回の授業料滞納というのは、非常に珍しいケースだ。

さて、一体どうなるのだろうと校長からの連絡を待っている間に、ふと、昔のことを思い出した。

以前自宅でレッスンしていた生徒に、お月謝を踏み倒されたという苦い経験だ。


そうこうするうちに、その生徒の昨年度の授業料は無事に振り込まれ、新年度のレッスンをスタートさせることができた。

授業以外の雑事に煩わされないで済むという環境は、なんて有難いのだろう。

授業料の取立てに、税金が投入されたのだ。

音楽家も音楽教師も、霞を食っては生きていけないのだからね。