水晶の夜
今から80年前、1938年11月9日夜から10日未明にかけて、水晶の夜Kristallnacht と呼ばれる反ユダヤ主義暴動がドイツ各地で発生した。
ユダヤ人居住区や商店、シナゴーグなどが破壊された時に飛び散ったガラスが水晶の様にきらめいたことからこの事件は水晶の夜と呼ばれている。
この事件はスピルバーグ監督の映画「シンドラーのリスト」でも有名だ。
先日の演奏会「Verfolgte Musik 迫害された音楽」の後、今日はここへ来ると決めていた。
私の住む街の旧市街の一角にある建物には、次のように記されたプレートが掲げられている。
1907-1938 シナゴーグ
1938 水晶の夜に破壊される
1946 再建
1952 移転
今日は辺りが暗くなる頃から、どこからともなくそこに人が集まってきて、花とろうそくが飾られた。
100人くらい集まったところで、慰霊祭の様なものが執り行われていた。
この街のユダヤ系住民なのだろうか?
若い十代と思しき男の子もスピーチしている。
そこに佇む人々は皆、特別な格好をしているわけではないので、知らなければ何の人だかりなのかわからない。
普段何気なく通り過ぎていくこの場所が、今この瞬間は歴史の証人として、忘れてはならない風景を私たち一人一人の心の中に映しだす。
余談になるが、この建物の上記と同じプレートには、ここには1782-1785年にイルミナーティの集会場があったとも記されている。