ドイツのピアノ教育見聞録

ピアノのレッスンを通して覗いたドイツ事情と試行錯誤の日々の記録。

秋の夜長

秋。

食欲の秋。

リンゴの皮はもう嫌というほど剥いた。

だから芸術の秋。

昨夜は同僚でコメディ女優Mさんの一人芝居を観に行ってきた。

昨年だったか、私の演奏会でプーランク作曲ピアノ連弾とナレーターのための「仔象ババールのお話」を上演した時、ナレーターを務めてくれたのが彼女だ。

実は、ドイツでドイツ語によるお芝居を観たのはこれが初めてだ。

昔、ミュンヘンでイッセー尾形の一人芝居を観た時のことを思い出した。

あの時は日本語で、ドイツ語の字幕付き上演だった。

ドイツ人のお客さんが大笑いしていたのを思い出す。

今回日本語の字幕は無い。

さて市内の小劇場に到着した。

20:30開演だが、お客さんはもうすでに集まっていて、ビールやワイン片手に和やかな雰囲気だ。

そういえば、ジャズのコンサートでは会場のバーで買った飲み物を席に持ち込んで一杯やりながら鑑賞できるのだ。

演劇もそうなのかな?

私もとりあえず飲み物をゲットする。

この時点から脱日常の始まりだ。

ちなみにクラシックコンサートでは、開演前と休憩中に飲み物やちょっとしたおつまみを楽しめるが、席への持ち込みはできない。

開演15分前、いよいよ着席。

あたりを見回すが、外国人らしい容貌の観客は私と友人の2人のみだ。

20分の休憩を挟んで、終演22:30。

その間1人で満員の観客の視線を釘付けにする女優のオーラに感心感嘆‼︎

どこまでドイツ語で内容を理解できるかちょっぴり不安だったが、知り合いが演技しているという親近感も手伝ってか、笑いのツボでケラケラと笑い転げるおばちゃんたちの隣でクスクスくらいは笑えたような気がする。

私が住んでいる街は中都市程度の大きさで、ミュンヘンのように文化事業に多大な経費をかけることはない。

残念。

しかしそれでも街には大中小3つの劇場があり、それぞれ独自のプログラムが組まれ、毎日でも観劇に出かけることができる。

それに加えてこれから1ヶ月以上にわたってジャズフェスティバルが開催され、街中あちらこちらでジャズライブが楽しめる。

数年前は日本人ジャズピアニストのHiromi もやって来た。

11月は一年のうちで最も気の滅入る時期なのだが、秋の夜長を楽しむには充分な催し物が開催される。

もちろんクラシックコンサートも一年を通じて企画されている。

平日仕事の後も週末の夜も、今年はどのチケットを買おうか頭を悩ませる人は少なくない。

文化のないところに人は集まらないというわけだ。

終演後、カフェバーでワインを一杯楽しんだ。