ドイツのピアノ教育見聞録

ピアノのレッスンを通して覗いたドイツ事情と試行錯誤の日々の記録。

JuMu Landes その三

ドイツ青少年音楽コンクール州予選は、10歳以上の年齢別カテゴリーから参加可能だ。

参加者は到着後にまず登録を済ませ、その場で本番会場での5分間のリハーサル時間と練習室での30分間のリハーサル時刻予定をもらう。

ピアニストにとってはどんなピアノで演奏するか最も気になるのだが、ソロ楽器演奏者も音響チェックに余念がない。

たった5分間の間に、20分のプログラム全ての予想をたてるわけだ。

その辺りは指導者伴奏者という周囲の大人たちがサポートに回る。

生徒たちは緊張しているのかといえば、案外そういうわけでもない。

州予選進出する子供達は州内の青少年オーケストラなどを通じて案外お互い知り合っているので、友達を見つけて結構盛り上がっていたりする。

また、初めての参加でも、特に女の子はどの洋服や靴にしようか楽しく取っ替え引っ替えしたり、お祭り気分の子もいたりする。

緊張感をポジティブな方向へ持って行き、この状況を楽しんでいるかのように見える。

そういう意味では地区予選の方が、年齢の低い子供達もたくさん参加しているせいか、鼻血騒ぎが起きたりと、保護者がてんやわんやしている状況を見かけやすい。

そして大切なのが腹ごしらえだ。

演奏前は食欲がなくても、待ち時間にはコーヒーが飲みたくなる。

応援に駆けつけた家族にとっても、カフェテリアの有無は重要だ。

例年、ギムナジウムの建物が会場になる場合、受付付近に小さなコーヒースタンドが設置されているだけだが、今年の会場は大学だけあって、施設内にカフェと食堂が別々に設置されていて、大勢の人数が押しかけても大して待たされる事なく次々に捌かれていく。

演奏を済ませた後から審査員との個別面談或いは結果発表までの間、街の中のアイスクリーム屋に行ってみんな揃ってホッと一息つくのがイヤな人はいないだろう。

ここで私は今年も不思議な光景に出くわした。

ドイツには、スパゲッティアイスクリームというトマトソーススパゲッティを模したアイスクリームがある。

トマトの赤はイチゴジャム、パスタ部分はバニラアイスで作られたアイスクリームだ。

(私は食べないので、おそらくそうだと思われる。)

このスパゲッティアイスクリームを一家全員揃って注文する家族って、ドイツには多いのだろうか?

数年前と今年の2度も、JuMu Landesで、このような家族2組に遭遇した。

家族の嗜好はそこまで似るのか、スパゲッティアイスクリームがそこまで美味しいのか、私には摩訶不思議な現象だ。

まぁどうでもいいんですけど。

その他、空き時間に勉強している生徒もいる。

なんとアビトゥアの勉強だ。

州予選と全国大会の間に、アビトゥアの試験が予定されている。

Nもこのイースター休暇は勉強しか予定がないらしい。

最近ではどうだか知らないが、受験前だからという理由でクラブ活動を止めなければならない日本の高校生とは大違いだ。