ドイツのピアノ教育見聞録

ピアノのレッスンを通して覗いたドイツ事情と試行錯誤の日々の記録。

新コンサートシリーズ

2019年の初演奏会は、ドビュッシーとシューマンで始まった。

文化予算が削減されていく中でも、音楽芸術を大切にするべきだという考えはドイツでは揺らがない。

2018年10月から、この街で新たなクラシックコンサートシリーズが始まった。

隔週土曜日の午後、街の歴史博物館内で、無料のクラシックコンサートが楽しめる、ミュージアムコンサートシリーズだ。

昨年10月の「迫害された音楽」というテーマの演奏会も、このコンサートシリーズ枠内での催し物だ。

演奏前にプログラムの内容に関連した街の歴史が簡単に紹介され、なかなか興味深いものがある。

今回またピアノ連弾で、プログラムはドビュッシーの「六つの古代碑銘」全六曲と、シューマンの「東洋の絵op. 66」全六曲だ。

ドビュッシーのこの作品は昨年12月の演奏会で弾いたばかりだが、このミュージアムコンサートシリーズのコンセプトにぴったりなので再上演即決定。

ドビュッシーはある詩集にインスピレーションを受けてこの作品を作曲した。

他にはどうしようかと考えた末、シューマンの「東洋の絵」に決まった。

館内にはたくさんの絵画も展示されているからだ。

ちなみにこの作品も、シューマンが当時出版されたばかりの中近東の詩人によるドイツ語翻訳詩集にインスピレーションを受けて作曲されていて、「東洋」といっても残念ながら東アジアではないのがちょっぴり残念だ。

とはいうものの、中近東のオリエンタルな雰囲気のメロディが出てくるのかと思いきや、作品は一貫してドイツそのもの。

シューマンは、異国の詩を読んでもそれをしっかり自分の芸術に昇華させることが出来たんだなぁ。

ところでドビュッシーだが、咋12月のコンサート会場ではスタインウェイ、今回はベヒシュタインで演奏した。

楽器によって表情がとても変わる。

貴重な体験だ。

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