ドイツのピアノ教育見聞録

ピアノのレッスンを通して覗いたドイツ事情と試行錯誤の日々の記録。

はじめに

ドイツで暮らすこと28年。

なんだか嘘みたいな数字だ。

こちらに来たばかりのころは、知り合った日本人が「うーん、こっちに来てもう10年かなあ。」などと発言されるのを聞く度、「え~ん、信じられない!」などと心底驚いていたものだ。

しかしどうだろう。月日の流れは当たり前だが私を変貌させた。

今ではさらりと「ドイツに来て今年で28年よ。」と言ってしまえる。単なる事実だ。

その間のドイツ生活に於いては当然色々なことがあったわけだ。

もっと早くにブログに記せばよかったようなこともたくさんある。

まあでもそこは取捨選択されるもの。

先日、一人娘がめでたく就職してくれた。

やれやれ。一安心。

そして初めて、自分自身を思いやるという余裕が生まれてきた。

私という一人の日本人女性は、この異国の地で今まで一体何をしてきたのだろう?

そういえば、28年間絶えることなく続けてきたことがあるじゃないか!

そう。ピアノ教師という仕事だ。そして機会があれば、演奏活動もする。

私は現在、現地の公立音楽学校並びに音楽系ギムナジウム、そして大学で将来音楽教師を目指す学生たちにピアノを教えている。

ドイツでフルタイム勤務するピアノ教師の覗いたドイツ音楽教育事情の現場及び試行錯誤の日々を記録していきたいと思う。