ドイツde中華 〜日中茶碗蒸考〜
先日、中国人母娘に誘われて、中華料理を食べに行った。
田舎には珍しい本格中華レストランだ。
私も以前何度かこのレストランに行ったことがあるが、麻婆豆腐や水餃子など、他の中華料理屋ではお目にかかれないメニューがとにかく絶品だ。
この中国人お母さんはオーナー夫妻とも懇意なので、気のせいかサービスも速い。
さて、何を頼もうか?
実は私は密かに茶碗蒸しが食べたいと思って今日のこの日を楽しみにしていたのだ。
そこで早速提案してみた。
中国人お母さんの茶碗蒸しに対する反応はいまいちパッとしない。
これはつまらないという意見なのだ。
実は私、この茶碗蒸しを一度だけ食べたことがある。
日本の茶碗蒸しと比べると少し油っぽいのだが、フワトロ絶品!
もう一度食べてみたいと思っていたけれど、何しろサイズが大きいので、ある程度の人数が集まらないと割りに合わないメニューなのだ。
今日は総勢4名でテーブルについたから、絶対茶碗蒸し!と思っていたのだが、相手の反応がなんだか悪い。
娘さんの方が今ひとつ食欲がないというので、めげずにもう一度茶碗蒸しを押してみる。
日本人だと、食欲のない時には茶碗蒸しを勧められると納得すると思うのは私だけではないような気がするが、中国人お母さんの反応は一貫している。
そうこうするうちに、注文を取りにオーナーの奥さんがやって来た。
なんだか揉めてる私たちにお店からのアドバイス。
奥さん曰く、茶碗蒸しはメニューにあるけれど、美味しくないわよ、との衝撃のお言葉!
「これはただの卵だから、退屈な味なの。赤ちゃんがいるならいいけれどね〜。」
ふーん、これが中国人の茶碗蒸しに対する見解なのかぁと、カルチャーショックを受けた私。
離乳食としては油が多すぎやしないかい?
赤ん坊の頃から油っぽい料理に慣れさせるのが中国式なのかしら?
私は以前にこの茶碗蒸しを食べて、とても美味しかったわというポジティブな感想は伝え損なった。
伝えていたら、彼女らに逆カルチャーショックを与えていたのかな?
この日たまたま店内で鉢合わせした知り合いの日本人、何を食べたか聞いてみたら、茶碗蒸しとしっかり答えてくれた。
やっぱりそうこなくっちゃ!
茶碗蒸しを食べるには、日本人と一緒に行くのが一番だ!
Übertrittの季節
気がついたら、今年もまたÜbertritt の季節がやってきた。
現時点での小学4年生が、卒業してどの進路に合った学校の5年生になるのかが決定されるのがこのÜbertritt なのだ。
進路は小学校での成績によってほぼ決まる。
私の生徒にも、4年生が何人かいる。
音楽学校の先生たちは、楽器のレッスンをしているだけでもその生徒が5年生でどの進路に進むかが、事前に本人から聞かなくても大体わかるものだ。
私たちは、低学年の生徒たちに当然楽譜の読み方を教えているわけだ。
そんな時、先生の話を聞いて、言われた通りに実践して、指示された通りに宿題をやってくる、当たり前といえば当たり前のことができる生徒はだいたいギムナジウムに進学する。
宿題の練習を、これは難しいから嫌だと言って自分のやりたいことだけやってくる生徒は、レアルシューレ(実科学校)に進学するケースが多い。
外国人の子供でドイツ語にまだ問題があると判断された場合は、ドイツ語集中コースのあるミッテルシューレ(基幹学校)に進学するのは、ここ最近の風潮だ。
要するに、子供の音楽性云々という話ではなく、何かを学ぶということはどういうことか分かっている子供達がギムナジウムに進学する。
時々、うちの子は楽譜を読むのが嫌なので、楽譜なしで教えてくださいという親御さんも存在するが、その子が稀に見る天才的な音感の持ち主であるというケースにはまだ出会ったことがない。
そんな小学四年生たち、既にギムナジウム進学を決めた子が何人かいるが、どのギムナジウムに入学申し込みするかはもう少し考えるらしい。
オープンスクールに参加して最終判断がされるわけだが、うちの子は音楽系ギムナジウムに行っても大丈夫でしょうかと良く質問される。
仲良しのお友達あるいは自分の兄弟姉妹が行ってるからという理由で音楽系ギムナジウムに進学決定する場合は、よく考えておいたほうが良い。
音楽学校では自分の好きなことだけやっていても楽しければそれでいいが、音楽系ギムナジウムではそうはいかない。
自分の好きでない曲も課題曲であるなら練習しなければならないし、音階練習だって必要だ。
現在私の音楽学校の生徒に、お姉さんと同じ学校だからという理由で音楽系ギムナジウムに進学した生徒がいる。
彼女は現在とんでもなく苦労している。
拍子をとってリズムを数えるのが嫌だからだ。
できないわけではないのに。
事前にお母さんからの相談は何もなかったので、彼女の学校でのピアノの成績が今ひとつよくないと相談された際、この子に音楽系ギムナジウムは向いていない、相談があれば私ははっきりそう申し上げましたとお伝えした。
お姉さんも私が一から教えた生徒だが、こちらはピアノを弾くのがとても好きな、才能溢れる女の子だ。
姉妹でもタイプは全く違うのだ。
Übertritt を控えたお子さんをお持ちの保護者の皆様、そういう観点も踏まえた上で、お子さんに楽器のレッスンをおすすめされたらいかがでしょうか?
ドイツ青少年音楽コンクールの意義 ー地区予選総括ー
今年の地区予選はあっという間に終わった。
Jちゃんは、三年前の地区予選での一位入賞者だ。
三年振りの再会で、随分と大きくなって、音楽学校で腕を磨く傍ら、音楽系ギムナジウムでもトップクラスの腕前だ。
彼女が州大会に参加する権利は残念ながら貰えなかった。
これには先生もびっくり、大方の予想が裏切られたわけだ。
今年の審査はかなり厳しいものだった。
さて、引っ込み思案なMちゃんの方は、家族みんな、おじいちゃんおばあちゃんも含めて大喜び大満足している。
州大会進出かな?というわけではない。
彼女の先生は、いつも引っ込み思案で自信がない彼女を激励しようと思い、コンクール参加を勧めたのだ。
結果は先生の目論見通り、審査員一同が、彼女が勇気を持ってコンクールという場で演奏し、自分の実力を出しきったことを褒めてくれたのだ。
彼女は小さいけれど素敵なプログラムを人前で弾ききった。
これは、彼女の大きな自信となったに違いない。
点数だけで比較すると、Jちゃんの方が、Mちゃんよりも高得点だ。
しかしドイツ青少年音楽コンクール地区予選においては、音楽だけが評価されるわけではない。
子供達の人格形成など様々な教育的要素が配慮され、コンクールを通して子供達の人間的成長を促そうという主旨が確認できるのだ。
さて、以前の記事で紹介した、伴奏者にドタキャンされて泣きついてきた私の昔の生徒Nは、見事州大会進出だ。
私も本番に、彼女の伴奏を任せたピアニストの為の譜めくりをしながら応援に駆けつけた。
州大会も、応援に行こうかな。
ドイツ青少年音楽コンクール2019 地区予選
2月2日土曜日、我が街でのドイツ青少年音楽コンクール地区予選が無事終わった。
全国各地で行われる地区予選、ミュンヘンでは先週行われたそうだ。
開催日時が統一されていないことによって、万が一最寄りの街での参加が日程的に無理な場合、あるいは小さな地区では参加希望者がいなくて開催されない部門がある場合などに、別の街にエントリーすることができるというメリットがある。
すなわちできる限りの参加希望者を受け入れたいという主催者側の意図が読み取れる。
さて、会場となったのは私の勤務先である音楽学校だ。
学校全校舎および教室が、コンクールのために使用される。
金曜日の夜19時ごろ、通常のレッスンが終わった後からコンクールのための会場作りが始まる。
しかし、その時間にはホールでの練習発表会もまだ終了していない。
校長はできる範囲で準備を進めていくが、全く大忙しだ。
事務局の皆さんも、この日は朝と夜の二回出勤されるようだ。
私は金曜夜の練習発表会に、Mちゃんたっての希望で予定外に参加することになった。
彼女とは発表会終了後の20時過ぎ、翌日土曜日朝11時に本番直前リハーサルの約束をして別れた。
帰宅、就寝、翌朝はMちゃん、Jちゃんと連続してリハーサルと本番だ。
その後、彼女らの結果が出るまでは同僚ピアニストが伴奏する時の譜めくり要員として、あちこちの部屋を渡り歩く。
譜めくりも誰にお願いするか、時間に余裕があるか、予めしっかりと計画しておかねばならない。
コンクールのスケジュールは分刻みでほとんど狂いが無い。
何故なら、一人で幾つもの部門にノミネートしている参加者がいるからだ。
私たちの音楽学校からは、弦楽器ソロと、室内楽アンサンブルの両部門に参加する生徒が3人以上、2つのアンサンブルにエントリーしたピアニストも数名いた。
それらの生徒たちのリハーサルと本番の予定を全て考慮して全体のスケジュールが分刻みで計画される。
そして翌日日曜日は、一位入賞者による演奏会が行われた。
一年の中でも一番目が回るほど忙しく、自分の演奏会以上に神経を使う1日だと言っても過言ではないのが、地区予選当日だ。
詳細はまた後日!
最終調整
ドイツ青少年音楽コンクール地区予選まであと1週間となった。
音楽学校では、来週月曜日から金曜日までの連日18:30より練習発表会が企画されている。
音楽学校の生徒でコンクール参加者は、この練習発表会に何度でも申し込める。
最後の腕試しといったところだ。
ここまでくれば、練習するというよりも、いかに本番で緊張感と戦うかという、ほとんど精神鍛錬、メンタルトレーニングだ。
私も水曜日の夜に、普段のレッスンが終わった後、発表会場に駆けつけて、バイオリンソロ部門に参加するMちゃんの伴奏をすることになっている。
音楽学校のピアノの先生は、コンクールや試験を控えた生徒のための伴奏を引き受けるのも仕事のうちだ。
生徒の年齢層6歳から18歳くらいまでと幅広いので、伴奏の難易度も幅広い。
今日はMちゃんとの2回目のリハーサルを終えてきた。
彼女は12歳、少々引っ込み思案な性格だ。
初めてのリハーサルの時は緊張してカチカチになっていたが、今日は落ち着いて弓使いも滑らかに、あぁ、この子は伴奏をよく聞いて合わせてきているなと、いい手応えが感じられた。
バイオリンの先生曰く、彼女はとても良いものを持っているんだけれど、あまり厳しいレッスンをすると萎縮してしまうのだそう。
コンクールというのは非常に特殊な状況だ。
好き、楽しいだけではついていけない要素があることは言うまでもない。
しかし参加を決めた以上、自分にとっての最高の演奏をしてほしい。
自分で納得のいく練習を積み上げて初めて、演奏することを楽しめるのだから。
風邪にお勧めドイツ風スープ
風邪をひき、医師の診断書を提出したので、今週は家でゴロゴロすることになった。
いや、家で静養の間違い😅。
外は雪、気温はマイナス。
やっとドイツらしい冬になる。
かかりつけの先生から、風邪をひいたときに食べるスープのレシピをもらってきた。
材料 骨つき牛肉又は鶏肉1キロ
ポロねぎ2本又は玉ねぎ2個
にんじん3本🥕
セロリの根2切れ
塩胡椒、生姜、チリ、オールスパイス
作り方は、材料すべてと水2リットルを鍋に入れて2時間中火で煮る、圧力鍋を使う場合は45分、という簡単なもの。
しかし、ドイツ人て病気になっても食欲が落ちないのかしらと首をかしげる私。
きっと体が温まるのだろうなと想像はできるのだが、風邪引いてるときにお肉の塊、やはり日本人とは作りが違うのねーと、納得する。
元気になったら一度試してみよう😆。
私が倒れている間に、JugendMusiziertドイツ青少年音楽コンクールの学外練習発表会が終わってしまった。
指導の先生個人が主催する独自の練習発表会もいつの間にか終わっている。
だからこの時期には風邪引きたくなかったんだよなー😑。
風邪をうつされずに済む方法
どうも風邪をひいてしまった。
発熱はないが、喉に違和感があり、咳が少し出る。
木曜日あたりからおかしくなってきたのだが、金曜夜と土曜朝にコンクールのためのリハーサルがあり、キャンセルできる状況でなかった。
思い返すと先週の火曜日のレッスンで風邪をうつされたのではないか?
その日にやってきたJちゃんは、「昨日と今日は学校を休んだ。」と言う。
なんと胃腸をやられてゲロゲロ🤮になったというのだ。
一瞬目の前が真っ暗になった私😱😭。
いるんだよねー、こういう子って。
親は普通の学校は休ませても音楽学校には送り出すのだ。
それで先生に風邪がうつろうが御構い無し、授業料を払っているからという理論らしい。
一度この問題を会議の案件に提案した同僚がいたが、解決方法はない。
誰にうつされた風邪か証明などできないので、手を頻繁に洗うとか、鍵盤を拭くとかで自衛するしかない。
その昔、まだ5歳だった生徒が病気だけれどやってきた。
イヤー!という私の心の声はお母さんには聞こえない。
とりあえずその子は弾き始めたが、なんだか「🤢!」というポーズを取り始めたのだ。
鍵盤に吐かれたらどうしよう!と思った私は、「今日はもう帰ってください。」と、お引き取り願った。
それ以外には、病気真っ最中の生徒にどう対応すればいいのか、同僚の間でもいいアイディアは聞かない。
一度だけ、「病気の僕がレッスンに行ったら先生にうつってまた他の人にもうつるから、今日は休みなさいとお母さんに言われたんだ。」という生徒がいた。
天使のようなお母さんも存在する❗️
でもさ、これが本来あるべき姿なんじゃないのかな?